【聖なるシュカは 述べられり】
キンプルシャなるこの地区は　偉大な帰依者 ハヌマーン
シータの夫 そしてまた　ラクシュマナ等の 兄である
至上の御主（みす）の顕現者　御主ラーマを崇敬し
この地に住まうキンプルシャ　彼等と共に献身す

アールシュティシェーナと呼ばれたる　この地 治める支配者が
ガンダルヴァ等と共々に　詠唱したる吉兆な
御主の事績 聴きながら　斯くの如くに祈りたり

＜オーム 名声高く聖（きよ）き主に　帰命頂礼 奉る
高き品格保たれて　全てに優（すぐ）る至上主に　帰命頂礼 奉る
最高我にて感覚を　支配なされる御方（おんかた）に　帰命頂礼 奉る
照覧者にて万有（ばんゆう）の　すべてを把握 される主に　帰命頂礼 奉る
ブラーフマナの尊崇（そんすう）を　一（いつ）に集める至高者に　帰命頂礼 奉る
王仙達に崇（あが）めらる　御主に永久（とわ）の幸あれと　帰命頂礼 奉る

至純の極（きわ）み 至上主は　自ら発す光にて
グナ三元素 超越し　泰然（たいぜん）として 孤高（ここう）なり
物質界に捉われぬ　無垢（むく）の本質 顕現し
唯 寂静（じゃくじょう）に在り給う　御主を崇め 敬慕して
帰命頂礼 奉る

高貴な家系 識見（しっけん）や　見目良（みめよ）き姿 雄弁（ゆうべん）や
高き種族も御主には　価値無きものと 映（うつ）るなり
何故かとならば偉大なる　御主ラーマは吾（わ）のごとき
森の野獣(猿)を受け入れて　その働きを愛（め）で給い
高き評価を与えらる　ああ慈悲深きラーマ王

この素晴らしき御方（おんかた）を　神や悪魔や人間や
人に非（あら）ざる動物等（ら）　全てのものが心から
御足（みあし）に縋（すが）り 祈るべし　クリシュナ神の化身なる
ラーマを慕い 敬愛す　コーサラ国の人々を
御主（みす）は必ず天上の　界へ導き給うらん＞

バーラタ地区の至上主は　ナラ ナーラーヤナの姿なり
ダルマ 聖知をよく学び　世俗を離ち 放擲（ほうてき）し
感官（かんかん）制し 偽我（ぎが）を捨て　個我の本質体得し
秘奥（ひおう）の神秘 得なんとて　厳しき苦行する者を
深き慈悲にて包まんと　今のカルパが終わるまで
共に禁欲なさるなり

クリシュナ神(ナラ-ナーラーヤナ)を崇敬す　ナーラダ仙は然（しか）る時
世界（せかい）吟遊（ぎんゆう）する途次（とじ）に　バーラタ地区に立ち寄らる
サーンキャ学やヨーガなど　偉大な御主（みす）の聖典で
サーヴァルニ マヌ(八代目マヌ)教育し　真理 体得させんとて
クリシュナ神が規定さる　四姓（しせい） 四住期（しじゅうき） 遵守（じゅんしゅ）する
この地に住まう人々と　斯くの如くに 祈られり

＜おお至高なる御方（おんかた）よ　無属性にて無因なる
御主に拝を捧ぐなり　何も持たざる者達の
唯一（ゆいつ）の宝 至上主に　帰命頂礼奉る
ナラ ナーラーヤナの姿 採る　苦行者達の至高峰（しこうほう）
御身を讃え崇敬し　永久（とわ）の栄えを寿（ことほ）ぎぬ

この万有を創造し　維持し破壊を唯 一人
遂行（すいこう）される至高主は　その一切に捉われず
影響受けぬお方なり　而（しか）して御主（みす）はトリグナを
用いて身体（からだ） 造られて　内に在りては照覧者
然（しか）れどもその肉体の　穢れに染まぬ至上主は
唯 寂静（じゃくじょう）に御座（おわ）すなり　斯かる至高の御方（おんかた）に
帰命頂礼 奉る

ヨーガ行者の最高者　ヨーガの主たる御方（おんかた）よ
金の蓮（はす）より生まれたる　ブラフマー神は主を讃え
斯くのごとくに語られり
〈人が臨終迎えたる　その時こそが正念場（しょうねんば）
〔吾（わ）は 肉体に非（あら）ず〕との　強き思念（しねん）で 称名（しょうみょう）し
無属性なる御主への　深き帰依にて捨身する
これが真（まこと）のジーヴァが　ヨーガ行ずる 姿なり

おお至上主よ 願わくば　主の恩寵を戴きて
〔吾（わ）は肉体〕と 信じ込む　その謬見（びゅうけん）と迷妄（めいもう）を
何とぞ浄化 給われと　伏して懇願奉る
主はマーヤーを駆使（くし）なされ　この万有を支配して
すべてを把握される方　その素晴らしき御方（おんかた）に
帰依し 心を結び付け　揺（ゆ）るがぬ吾（われ）となることを＞

このバーラタの地区にても　多くの河と山があり
その山の名は〔マラヤ〕とか 〔マンガラ プラスタ〕〔マイナーカ〕
〔トリクータ〕とか〔リシャバ〕とか 〔クータカ〕そして
〔コーッラカ〕 〔サヒヤ〕〔デーヴァギリ〕〔リシャムーカ〕
〔シュリー シャイラ〕や〔ヴェーンカタ〕
〔マヘーンドラ〕とか〔ヴァーリダーラ〕
〔ヴィンデャ〕〔シュクチマーン〕〔リクシャギリ〕
〔パーリヤートラ〕〔ドローナ〕や
〔チトラクータ〕や〔ゴーヴァルダナ〕
〔ナイタンバ プラヴァ〕や〔カクバ〕とか
〔ゴーカームカ〕や〔ニーラ〕とか
〔インドラキーラ〕〔カーマギリ〕 そのほか他にも数千の
山々があり それらから　流れくだれる大量の
水が河川（かせん）を造りたり

バーラタ地区に住む人は　これ等河川の流水で
御名（みな）を唱えて沐浴し　我が身の浄化 するという
その河の名は〔アヴァトーダー〕 〔チャンドラヴァサー〕
〔タームラパルニー〕 〔クリタマーラー〕〔カーヴェーリー〕
〔ヴァイハーヤシー〕〔ヴェーニー〕や 〔ツンガバドラー〕〔パヤスヴィニー〕
〔クリシュナーヴェーンヤー〕〔ビーマラティー〕
〔シャルカラーヴァルター〕〔ゴーダーヴァリー〕
〔ニルヴィンディヤー〕〔ターピー〕や 〔パヨーシュニー〕の大河とか
〔レーヴァー〕〔スラサー〕〔ナルマダー〕
〔チャルマンヴァティー〕〔シンドゥ〕や 〔アンダ〕〔ショーナ〕の流れあり
〔マハーナディー〕とか〔トリサーマー〕
〔ヴェーダスムリティ〕〔リシクリャー〕 〔マンダーキニー〕〔カウシィキー〕
〔サラスヴァティー〕や〔ヤムナー〕や 〔ドリシャドヴァティー〕
〔ゴーマティー〕 〔ローダスヴァティー〕〔サラユー〕や
〔サプタヴァティー〕〔スショーマー〕 〔チャンドラバーガー〕
〔シャタドルー〕 〔マルドヴリッダー〕〔ヴィタスター〕
〔ヴィシュヴァー〕そして〔アシクニー〕 斯かる大河が存在す

バーラタ ヴァルシャ この土地に　純の様式 そしてまた
激情の性（さが） 暗き性　過去の行為を持ちしまま
多くの者が誕生す　為（な）せし己（おのれ）の行為にて
人間界や天界や　地獄の界へ移行して
積みし行為を浄化する　斯かる苦行も当地では
四姓 四住期その法規（ほうき）　多くの者が遵守（じゅんしゅ）して
浄められたる土地ゆえに　この地に誕生した者は
その功徳（くどく）にて速やかに　解脱への道 開かれん

生きとし生ける物すべて　包含（ほうがん）されし最高我
筆舌（ひつぜつ）にては語り得ぬ　自（みずか）らに満ち 無因なる
ヴァースデーヴァ クリシュナを
唯 一筋に専注し　帰依 献身をすることや
御主（みす）の帰依者と交流し　良き影響を得ることで
無知の帳（とばり）が消滅し　更に解脱に 近づかん

天上界の神々は　斯くの如くに讃美さる
＜ああバーラタの この地区に 〔人間〕として生まれしは
真（まこと） 稀有（けう）なる恩寵ぞ　過去世で御主（みす）に傾注し
善徳を積み 慈善をし　良き行為した 者のみに
与えられたる果報（かほう）なり 〔御主 拝して奉仕する〕
この行為こそ人間に　与えられたる特権で
神々さえも羨望（せんぼう）す　御主（みす）の御慈悲に他ならず

カルパ生き抜く長寿者が　他の惑星を目指すより
死ぬる定めの人間が　バーラタの地に生まれしは
真（しん）に価値あることなりき　何故かとならば肉の身の
煩悩（ぼんのう）を持つ人間が　行為によりて その香菓（かく）を
主の御足（おみあし）に捧げきり　清らな魂（こん）になるならば
御主（みす）の坐（ま）します常春（とこはる）の　郷（さと）に到達 出来るゆえ

天国に住む神々の　その長（おさ）が座（ざ）す天界は
確かに高き界なれど　人が崇むる処（とこ）でなし
何故かとならばその界は
御主（みす）の座（ま）します郷（さと）(ヴァイクンタ)でなく
御主 讃える有徳者（うとくしゃ）や　御主（みす）にひたすら献身す
帰依者と出会い 甘露なる　主の御事績や物語
聴く喜びやそしてまた　供犠の基（もと）なる至高者の
催行（さいこう）される大祭（たいさい）を　拝して浴（よく）す栄（えい）も無く
吾等が縋り 頼りきる　避難の場所でなきゆえに

このバーラタの地に生まれ　知的な行為 成す人も
不死の解脱を得る為の　種々の努力を為（な）さざれば
再び森に棲（す）む動物（もの）と　同じ危険に曝（さら）される

バーラタ地区の人々が　ヴェーダ規範に準拠（じゅんきょ）して
真摯に供犠を催行し　定められたる誦（じゅ）を唱（とな）え
神への供物 饗（きょう）するや　至福の授与者 至上主は
直ちにそれを受け取られ　地区の者等を労（いたわ）らる

御主（みす）は必ず人々の　祈願を叶え給うなり
然れど次はこれ 此れ!と　重ねて祈願 する者に
慈悲はお与えなさらざり　唯 ひたすらに主を求め
献身奉仕する者の　祈願に応え 相応（そうおう）の
願いを叶え給うなり

正しく供犠を行いて　ヴェーダ規範を研鑽（けんさん）し
善なる行為 積み重ね　その功徳（くどく）にて天国で
至福の境（きょう）に遊びたる　その善徳の残り香（が）が
未（いま）だ香りているならば　蓮華の御足（みあし） 抱きしまま
バーラタの地に再びの　誕生与え給わりて
至高の御主（みす）の御恩寵　賜りたしと願うなり＞

【聖なるシュカは述べられり】
パリークシット大王よ
ジャンブー ドヴィーパのこの地には
父の失くせし供犠の馬　探せし サガラ王の息子（こ）が
掘り起こしたる八州（はっしゅう）の　小島が在ると伝えらる
それらの地区は斯くのごと
〔スヴァルナプラスタ〕〔ラマナカ〕や
〔チャンドラシュクラ〕〔アーヴァルタナ〕
〔マンダラハリナ〕〔パーンチャジャナ〕
〔シンハラ〕〔ランカー〕と名付けらる

おおバーラタの後胤（こういん）よ　ジャンブー ドヴィーパが九つに
分割されし地区(ヴァルシャ)につき　吾が聴きたるそのすべて
御身に語り 伝えたり

第十九章　終了