sândîpaneh sakrt proktam
brahmâdhîtya sa-vistaram
tasmai prâdâd varam putram
mrtam panca-janodarât
3-2
アーシュラマ(四住期)なる学生期 主は一回の学習で
ヴェーダをはじめ広範な 知識習得なされたり
それら教えし教導者(グル) サンディーパニの死せる息子を
パンチャジャナ(悪魔)から救い出し 深き師恩に報いらる
samâhutâ bhîsmaka-kanyayâ ye
sriyah savarnena bubhûsayaisâm
gândharva-vrttyâ misatâm sva-bhâgam
jahre padam mûrdhni dadhat suparnah
3-3
ラクシュミーのごと美しき ビーシュマカの娘ルクミニーの
婚礼の儀(シシュパーラとの)に招かれし 王侯たちの面前で
御主を恋するルクミニーの 意思で結婚なされたり
まるでガルダがインドラの アムリタ獲りし様のごと
ガーンダルヴァの習わし(略奪婚)を 用いて奪い去られたり
三章 主の御事績を語り継ぐ
kakudmino 'viddha-naso damitvâ
svayamvare nâgnajitîm uvâha
tad-bhagnamânân api grdhyato 'jnân
jaghne 'ksatah sastra-bhrtah sva-sastraih
3-4
ナーグナジット王の娘(サティヤー)の 婿選りの場の競合で
主は一刻で獰猛な 七頭の牛 制御して
並みいる王ら打ち負かし 女婿の席に着かれたり
王女に固執する愚者が 武器を携え襲いしが
主は自らの武器 取りて 彼等すべてを屠られり
priyam prabhur grâmya iva priyâyâ
vidhitsur ârcchad dyutarum yad-arthe
vajry âdravat tam sa-gano rusândhah
krîdâ-mrgo nûnam ayam vadhûnâm
3-5
普通の人がする如く 愛する妻(サティヤバーマー)の懇願を
唯々諾々と引き受けて 主は五天華(インドラ天界の華)の一つなる
パーリジャータを奪われり 妻(シャチー)の怒りにインドラ(神)は
直ちに軍勢引き連れて 御主を猛追したるなり
sutam mrdhe kham vapusâ grasantam
drstvâ sunâbhonmathitam dharitryâ
âmantritas tat-tanayâya sesam
dattvâ tad-antah-puram âvivesa
3-6
大地女神の息子なる 巨漢ナラカは不遜にも
天空までも呑まんとす 神々たちの懇請で
主は誅伐を決意され スダルシャナ(円盤)にて殺されり
主は王宮(ナラカの)に入られしも
それを息子(ナラカの息子バガダッタ)に与えらる
29
三章 主の御事績を語り継ぐ
tatrâhrtâs tâ nara-deva-kanyâh
kujena drstvâ harim ârta-bandhum
utthâya sadyo jagrhuh praharsa-
vrîdânurâga-prahitâvalokaih
3-7
ナラカによりて捕えられ 幽閉された王女らは
“悩める者の友”である 聖クリシュナを眼にするや
即ちに座から立ちあがり 笑みと恥じらい浮かべつつ
愛に溢れし眼で見つめ 主を夫として受け入れり
âsâm muhûrta ekasmin
nânâgâresu yositâm
sa-vidham jagrhe pânin
anurûpah sva-mâyayâ
3-8
主はマーヤーを用いられ それぞれの場に秘匿さる
歳まだ若き王女らに 相応しき姿を採らせると
直ぐに等しく手を取りて 願いをすべて叶えらる
tâsv apatyâny ajanayad
âtma-tulyâni sarvatah
ekaikasyâm dasa dasa
prakrter vibubhûsayâ
3-9
而して主は自らを 顕現せんと望まれて
一人ひとりの王妃らに
すべてが己に類似する 十人の子を授けらる
30
三章 主の御事績を語り継ぐ
kâla-mâgadha-sâlvâdîn
anîkai rundhatah puram
ajîghanat svayam divyam
sva-pumsâm teja âdisat
3-10
カーラヤヴァナやマガダ王(ジャラーサンダ)
シャールヴァなどの軍隊が
マトゥラーの街
包囲せり
その時御主は陣頭で 御自らが指揮取られ
自国の民に神的な 威力を見せつ 撃破さる
sambaram dvividam bânam
muram balvalam eva ca
anyâms ca dantavakrâdin
avadhît kâms ca ghâtayat
3-11
シャンバラ バーナ ドウィヴィダ(猿の王)や
ムラ バルヴァラや そしてまた
ダンタヴァクラの悪魔らを
主は御自身で膺懲し(討ち懲らしめる)
或いは他者に討たしめり
atha te bhrâtr-putrânâm
paksayoh patitân nrpân
cacâla bhûh kuruksetram
yesâm âpatatâm balaih
3-12
ああヴィドゥラよ更に又
御身の兄(ドリタラーシュトラとパーンドゥ)の息子等が
地球を痛め 揺るがせし クルの原野(クルクシェートラ)の戦いの
その軍勢(カウラヴァとパーンダヴァ)に加担せし
王や王子を悉く 主は成敗をなされたり
31
三章 主の御事績を語り継ぐ
sa-karna-duhsâsana-saubalânâm
kumantra-pâkena hata-sriyâyusam
suyodhanam sânucaram sayânam
bhagnorum ûrvyâm na nananda pasyan
3-13
ドゥフシャーサナや そしてまた シャクニ カルナら側近に
邪言を教唆され ドゥルヨーダナは憐れにも 幸と寿命を失いて
戦いの場で太腿を 棍棒により砕かれて 大地にどうと崩れ落つ
然れども主はその様を ご覧になるも一向に 満足される気配なし
kiyân bhuvo 'yam ksapitoru-bhâro
yad drona-bhîsmârjuna-bhîma-mûlaih
astâdasâksauhiniko mad-amsair
âste balam durvisaham yadûnâm
3-14
そして御主は宣わく
『十八師団 備えたる クル両軍の兵力を
軍師ドローナ ビーシュマが
そしてアルジュナ ビーマらが すべて根絶せしめたり
然れどそれが如何ほどの 地球の重荷 減ぜしや
吾が派生なるヤーダヴァの 威力に地球 耐えうるや
mitho yadaisâm bhavitâ vivâdo
madhv-âmadâtâmra-vilocanânâm
naisâm vadhopâya iyân ato 'nyo
mayy udyate 'ntardadhate svayam sma
3-15
このヤーダヴァの猛威から 地球を護り救うには
ヤドゥ一族 相共に 美酒に酔わせて紊れさせ
眼を血走らせ口論し 内輪どうしの争いで
自滅をさせる道のほか 講ずる手立てなかろう』と
32
三章 主の御事績を語り継ぐ
Evam sancintya bhagavân
sva-râjye sthâpya dharmajam
nandayâm âsa suhrdah
sâdhûnâm vartma darsayan
3-16
斯くのごとくに熟慮して クリシュナ神は然る後
多くの民の喜びと 地球の安寧 意図なされ
法治国家(ダルマによって統治する国)を築かんと
ダルマプトラ(ダルマの子=正義の子)と称せらる
ユディシュティラを起用して 王座に就かせ給いけり
uttarâyâm dhrtah pûror
vamsah sâdhv-abhimanyunâ
sa vai drauny-astra-samplustah
punar bhagavatâ dhrtah
3-17
優れし勇者アビマニユの 妻ウッタラーが受胎せし
パリークシット プルの後裔は
アシュワッターマン(ドローナの息子)兵器にて
焼け死にしたるその刹那 御主が蘇生させたもう
ayâjayad dharma-sutam
asvamedhais tribhir vibhuh
so 'pi ksmâm anujai raksan
reme krsnam anuvratah
3-18
全能の主は然る後 ユディシュティラ大王に
ダルマの息に相応しき 馬供犠を三度させたまう
主の熱烈な帰依者なる 王は親族の力借り
地球を保護し よく治め 主を喜ばせ満たしけり
33
三章 主の御事績を語り継ぐ
bhagavân api visvâtmâ
loka-veda-pathânugah
kâmân siseve dvârvatyâm
asaktah sânkhyam âsthitah
3-19
根原主なる御主もまた ヴェーダの道に従いつ
ドワーラカーに住みたまい 世の常のごと楽しまる
然れども主はサーンキャの 説く教説を遵法し
世俗に暮らす喜びに 執着されることはなし
snigdha-smitâvalokena
vâcâ pîûsa-kalpayâ
caritrenânavadyena
sri-niketena câtmanâ
3-20
愛に溢れし微笑みや 優しく見遣るお眼差し
甘露の如きお言葉や 雅びやかなる物腰の
肉体持たる至上主(化身された)は まこと至福の権化なり
imam lokam amum caiva
ramayan sutaram yadûn
reme ksanadayâ datta-
ksana-stri-ksana-sauhrdah
3-21
御主は世俗の人々や ヤドゥの民を喜ばせ
夜は妻らと束の間の 情けを結び 睦みあい
共に楽しく過ごされり
34
三章 主の御事績を語り継ぐ
tasyaivam ramamânasya
samvatsara-ganân bahûn
grhamedhesu yogesu
virâgah samajâyata
3-22
斯くの如くに至上主は ヤーダヴァ族の長として
楽しき日々を過ごされり
然れども主は長き間の 家長の義務の明け暮れに
やがて関心 無くされり
daivâdhînesu kâmesu
daivâdhînah svayam puman
ko visrambheta yogena
yogesvaram anuvratah
3-23
生きとし生ける者達の 生殺与奪 握られる
主の支配下にある者が 自ら何を望まんや?
クリシュナ神を信頼し クリシュナ神を瞑想し
クリシュナ神に全幅の 帰依をお誓い申すのみ
puryâm kadâcit krîdadbhir
yadu-bhoja-kumârakaih
kopitâ munayah sepur
bhagavan-mata-kovidâh
3-24
ヤドゥ氏族とボージャ等の 若者たちが或る時に
ドワーラカーの都にて ふざけて遊ぶそのうちに
聖仙たちの逆鱗に 触れて怒りを買いにけり
主の意図(3-3-15参照)を知るムニ達は 彼等に呪詛を発したり
35
三章 主の御事績を語り継ぐ
tatah katipayair mâsair
vrsni-bhojândhakâdayah
yayuh prabhâsam samhrstâ
rathair deva-vimohitâh
3-25
二 三ヶ月が過ぎし後 世俗の神に魅せられた
ヴリシュニ ボージャ アンダカの 氏族の者ら打ち揃い
馬車を連ねていそいそと 西海岸の巡礼地
プラバーサへと旅立ちぬ
tatra snâtvâ pitrn devân
rsîms caiva tad-ambhasâ
tarpayitvâtha viprebhyo
gâvo bahu-gunâ daduh
3-26
聖地に着くと彼たちは まず沐浴しその後に
祖霊 神々 聖者等に 〔水〕を捧げて表敬し
バラモンたちに乳牛を 贈りて満足せしめたり
hiranyam rajatam sayyâm
vâsâmsy ajina-kambalân
yânam rathân ibhân kanyâ
dharâm vrtti-karîm api
3-27
そして金 銀 寝台や 衣服 鹿皮 毛織物
輿(駕籠) 馬車 象や娘たち
生計の資を得るための 土地を彼等(バラモン達)に供じたり
36
三章 主の御事績を語り継ぐ
annam coru-rasam tebhyo
dattvâ bhagavad-arpanam
go-viprârthâsavah sûrâh
pranemur bhuvi mûrdhabhih
3-28
そして彼等はバラモンに 美味なる食を饗応し
ブラーフマナや乳牛の 生命護るが武士とての
本分なりとよく知りて 主への奉仕と同様に
大地に額 擦るごと 深く頭を下げにけり」