十九章 パリークシット シュカに教えを請う


第十九章【パリークシット シュカに教えをう】



sûta uvâca
mahî-patis tv atha tat-karma garhyam
vicintayann âtma-kritam sudurmanâh
aho mayâ nîcam anârya-vat kritam
nirâgasi brahmani gûdha-tejasi
19-1





≪聖仙スータ語られる≫
城に帰りし国王は おの仕打しうちを悔悟かいごして
ひどく落ち込み苦悩せり 《ああなんというもの
罪ひとつ無く純粋で 玄妙げんみょう秘めしバラモンに
下賎げせんな者に対すごと いやしむ行為なせるとは



dhruvam tato me krita-deva-helanâd
duratyayam vyasanam nâti-dîrghât
tad astu kâmam hy agha-niskritâya me
yathâ na kuryâm punar evam addhâ
19-2




御主みすの定め(四姓)軽視けいしせる 吾にしあればその罪で
さほど遠くは無き時に 予測よそく出来ざる災厄さいやく
おそいかかるは必定ひつじょう
二度と再び斯くのごと 規矩きく(規則)犯さぬと誓言せいごん
罪をあがなうそのために斯くあるべしと願うなり》



adyaiva râjyam balam riddha-kos'am
prakopita-brahma-kulânalo me
dahatv abhadrasya punar na me 'bhût
pâpîyasî dhîr dvija-deva-gobhyah
19-3




<二度と再びこの吾に バラモンに〔水〕うという
ヴァルナ(四姓)無視する罪深き 思い持たせぬその為に
バラモンたちの憤激ふんげきが まさにこの日に王国を
その軍隊を 財宝を 猛火もうかとなりて焼きくせ!>




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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


sa cintayann ittham athâs'rinod yathâ
muneh sutokto nirritis takshakâkhyah
sa sâdhu mene na cirena takshakâ-
nalam prasaktasya virakti-kâranam
19-4




斯く悔悟かいごせる国王は ムニ(聖仙)の息子の呪詛じゅそにより
タクシャカという毒蛇どくへびが 死をもたらすと聞き知りぬ
世俗せぞくかる執着しゅうちゃくを 蛇のほのお(毒)で焼きつくし
即座に離欲りよくなさんとて そを恩寵おんちょう拝受はいじゅせり




atho vihâyemam amum ca lokam
vimars'itau heyatayâ purastât
krishnânghri-sevâm adhimanyamâna
upâvis'at prâyam amartya-nadyâm
19-5




すでに前より国王は 夢想むそうのごとき現世うつつよ
しゅうする愚昧ぐまい 悟りしが 〔時来たれり〕と決定けつじょう
御主みすの蓮華の御足おみあしを あがめることが最善》と
固く信じる国王は 断食だんじきによる死を求め
聖なる河の水辺すいへんに 従容しょうようとして座をめり




yâ vai lasac-chrî-tulasî-vimis'ra-
krishnânghri-renv-abhyadhikâmbu-netrî
punâti lokân ubhayatra ses'ân
kas tâm na seveta marishyamânah
19-6




クリシュナ神の御足おみあしの ちりを洗いしガンガーは
トゥラシィーの葉にれ合いて よりき水となりしゆえ
この三界さんがい内外うちそとや 守護神しゅごしんさえも浄化じょうかせり
まして死ぬべき者ならば 
(ガンジス河)に行かざる理由ゆえありや?







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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


iti vyavacchidya sa pândaveyah
prâyopaves'am prati vishnu-padyâm
dadhau mukundânghrim ananya-bhâvo
muni-vrato mukta-samasta-sangah
19-7




すべての執意しゅうい ち切りて 断食だんじきによる死を求め
パーンドゥのいん 国王は ガンジス河へおもむけり
世のしがらみはなつ 聖なる誓い打ち立てて
しゅ御足おみあし傾注けいちゅうし おのがすべてをゆだねたり




tatropajagmur bhuvanam punânâ
mahânubhâvâ munayah sa-s'ishyâh
prâyena tîrthâbhigamâpades'aih
svayam hi tîrthâni punanti santah
19-8




そしてその時その場所に 全ての世界 浄化する
名望めいぼう高き聖仙が 弟子らともなおとずれり
ほぼ大方おおかたの聖者らは 聖地おとな口実こうじつ
自分自身でその聖地 浄化されてらるなり




atrir vasishthhas' cyavanah s'aradvân
arishthanemir bhrigur angirâs' ca
parâs'aro gâdhi-suto 'tha râma
utathya indrapramadedhmavâhau
19-9 ・10




アトリ ヴァシシュタ チャヴァナや
シャラドヴァーンや アリシュタネーミ
そしてブリグに アンギラス
ガーディの息子(ヴィシュワーミトラ) パラーシャラ(ヴィヤーサの父)
さらにはラーマ(パラシュラーマ) ウタスヤや
インドラプラマダ イドマヴァーハ









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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


medhâtithir devala ârshthiseno
bhâradvâjo gautamah pippalâdah
maitreya aurvah kavashah kumbhayonir
dvaipâyano bhagavân nâradas' ca






メーダーティティ デーヴァラや
アーリシュティセーナ さらにまた
バーラドワージャ ガウタマや
マイトレーヤにピッパラーダ
アウルヴァ カヴァシャ クムバヨーニ(アガスティヤ)
ドヴァイパーヤナ(ヴィヤーサ) ナーラダ仙
その他 名高き神仙しんせんや 梵仙ぼんせんそして王仙おうせん
所々方々しょしょほうぼう住居すまいから 河畔かはんにお着きなされたり




anye ca devarshi-brahmarshi-varyâ
râjarshi-varyâ arunâdayas' ca
nânârsheya-pravarân sametân
abhyarcya râjâ s'irasâ vavande
19-11




太陽のごと慈悲深き 傑出けっしゅつしたる神仙や
位階いかいの高き梵仙や そして屈指くっしの王仙ら
次から次と河岸かわぎしへ 姿あらわ方々かたがた
王は深々ふかぶか頭垂こうべたれ 崇敬すうけいの意をひょうされり




sukhopavishtheshv atha teshu bhûyah
krita-pranâmah sva-cikîrshitam yat
vijnâpayâm âsa vivikta-cetâ
upasthito 'gre 'bhigrihîta-pânih
19-12




つどい来たりし聖者らが 心地良ここちよき座に着かれると
パリークシット国王は 再び礼を捧げたり
聖仙たちの前に立ち 合掌がっしょうをして敬虔けいけん
此度こたびおの決定けつじょうを あますことなくげにけり





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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


râjovâca
aho vayam dhanyatamâ nripânâm
mahattamânugrahanîya-s'îlâh
râjnâm kulam brâhmana-pâda-s'aucâd
dûrâd visrishtham bata garhya-karma
19-13





国王はく申されり「ああ なんという幸運よ
偉大なこん方々かたがたに 斯くも御慈悲をたもうとは
われ等王族階級おうぞくかいきゅう(クシャトリヤ)は その罪深き行為ゆえ
ああ あわれにもバラモンの 足を洗いしその水に
 近づくことも許されず 遠くのほうに流されり




tasyaiva me 'ghasya parâvares'o
vyâsakta-cittasya griheshv abhîkshnam
nirveda-mûlo dvija-s'âpa-rûpo
yatra prasakto bhayam âs'u dhatte
19-14




常に家族に執着し 俗世ぞく没頭ぼっとうする吾に
ブラーフマナの呪詛じゅそという 姿られし至上主が
死への恐怖ですみやかに 離欲りよくの思いしょうじさせ
二元にげんの罪1.を至上主の 御意志でまさ(即座に)のぞかれり

1. 二元の罪… 神と世俗という二つの基盤をもつこと。




tam mopayâtam pratiyantu viprâ
gangâ ca devî dhrita-cittam îs'e
dvijopasrishthah kuhakas takshako vâ
das'atv alam gâyata vishnu-gâthâh
19-15




おお願わくばバラモンよ ガンガー女神じょじんいだかれて
心を御主みす傾注けいちゅうす 吾に御慈悲を与えませ
バラモンの子のめいにより 蛇タクシャカが吾を
<毒で生命が尽きるまで クリシュナ賛歌さんか うたわれよ>







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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


punas' ca bhûyâd bhagavaty anante
ratih prasangas' ca tad-âs'rayeshu
mahatsu yâm yâm upayâmi srishthim
maitry astu sarvatra namo dvijebhyah
19-16




ブラーフマナの方々に 再度さいど 礼拝れいはいたてまつ
とうと御主おんしゅクリシュナに
おわることなき信愛あいささげ 御主みす帰依者きえしゃまじわりて
最上級さいじょうきゅう方々かたがたが つねに住まわるあの界(ヴァイクンタ)
 くことをいのるなり>」




iti sma râjâdhyavasâya-yuktah
prâcîna-mûleshu kus'eshu dhîrah
udan-mukho dakshina-kûla âste
samudra-patnyâh sva-suta-nyasta-bhârah
19-17




斯くのごとくに国王は 世俗ぞくつながる執着を
徹底的に断ち切ると 
己が長子ちょうし(ジャナメージャヤ)に王の座を
ゆずり渡して即位そくいさせ カンジス河の南岸なんがん
クシャ草の根(東に向けた) の敷物に 北方ほっぽうを向きすわりたり




evam ca tasmin nara-deva-deve
prâyopavishthe divi deva-sanghâh
pras'asya bhûmau vyakiran prasûnair
mudâ muhur dundubhayas' ca neduh
19-18




死の断食だんじきを決意して そこに座したる国王に
天上界の神々は その決定けつじょう賞賛しょうさん
色とりどりの花々を 地に隙間すきまなくまき散らし
賞めて 讃えて 幾度いくたびも 天の太鼓たいこを打ち鳴らす







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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


maharshayo vai samupâgatâ ye
pras'asya sâdhv ity anumodamânâh
ûcuh prajânugraha-s'îla-sârâ
yad uttama-s'loka-gunâbhirûpam
19-19




参集さんしゅうしたる聖者らは
御主みす美徳びとく心酔しんすいす 王の誓いを賞賛しょうさん
《ああかな!》と喜びぬ
生きとし生ける者たちに 恩恵おんけいあたう力持つ
傑出けっしゅつしたる聖者らは 斯くの如くに述べにけり




na vâ idam râjarshi-varya citram
bhavatsu krishnam samanuvrateshu
ye 'dhyâsanam râja-kirîta jushtham
sadyo jahur bhagavat-pârs'va-kâmâh
19-20




「聖クリシュナに完璧かんぺきな 帰依つちかいしパーンダヴァの
血統をぐ者たちの 中で一際ひときわ輝きし
数多あまたの王に王冠(所有した)を 放棄ほうきさせたる国王が
御主みすに近づく願いから 王座おうざ捨て去る行いは
驚くことにあたいせず 至極至当しごくしとうのことなりき




sarve vayam tâvad ihâsmahe 'tha
kalevaram yâvad asau vihâya
lokam param virajaskam vis'okam
yâsyaty ayam bhâgavata-pradhânah
19-21




しゅの最高の帰依者なる パリークシット国王が
その肉体を捨てしのち あらゆるけがなげき無き
至高しこうかいいたるまで われ等はここにとどまりて
 その素晴らしき吉兆きっちょうの 〔とき〕のきたるを待ちぬべし」







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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


âs'rutya tad rishi-gana-vacah parîkshit
samam madhu-cyud guru câvyalîkam
âbhâshatainân abhinandya yuktân
s'us'rûshamânas' caritâni vishnoh
19-22




平等観びょうどうかん立脚りっきゃくし 慈愛ぶかくて威厳いげんある
まこと尊きリシたちの 言葉を聴きし国王は
感謝の思い述べしあと クリシュナ神の御事績ごじせき
聴聞強く希求ききゅうして 聖仙たちに申したり




samâgatâh sarvata eva sarve
vedâ yathâ mûrti-dharâs tri-prishthhe
nehâtha nâmutra ca kas'canârtha
rite parânugraham âtma-s'îlam
19-23




「この三界さんがいの各地から つどられし聖者らは
至高の知識(ヴェーダ)そのものを 具象化ぐしょうかされしおかたなり
主の恩寵を除きては 現世げんせ 来世らいせの欲望が
何ひとつ無き(アートマ気質の)お方なり




tatas' ca vah pricchyam imam vipricche
vis'rabhya viprâ iti krityatâyâm
sarvâtmanâ mriyamânais' ca krityam
s'uddham ca tatrâmris'atâbhiyuktâh
19-24




真智修しんちおさむる主の帰依者 信頼捧ぐ聖者らに
たずねることを許されよ 生きとし生ける者にとり
まさに命がきるとき 為すべきことはなんなるや
そして為したることにより 至純しじゅんいたる行為とは...
おお聖仙よ 願わくば 愚問ぐもんなれども教示きょうじあれ」









254

十九章 パリークシット シュカに教えを請う


tatrâbhavad bhagavân vyâsa-putro
yadricchayâ gâm athamâno 'napekshah
alakshya-lingo nija-lâbha-tushtho
vritas' ca bâlair avadhûta-veshah
19-25




く問いかけしおりおり 永久とわの悟りに満ち足りて
意の向くままに遊行ゆぎょうさる ヴィヤーサのそく 聖シュカが
この地にお着きなされたり
身に何一つ(聖紐さえも)けぬまま
わらべ 幼児ようじに囲まれて 世捨よすびとごと姿なり




tam dvyashtha-varsham su-kumâra-pâda-
karoru-bâhv-amsa-kapola-gâtram
cârv-âyatâkshonnasa-tulya-karna-
subhrv-ânanam kambu-sujâta-kanthham
19-26




十六歳の聖シュカは 少年らしき手足持ち
もも 腕 肩やおとがいは 強き体格 かたづくる
見開みひらきし眼は切れ長で 高き鼻梁びりょうおおき耳
凛々りりしき眉は引き締まり 法螺貝ほらがいのごと太きくび




nigûdha-jatrum prithu-tunga-vakshasam
âvarta-nâbhim vali-valgûdaram ca
dig-ambaram vaktra-vikîrna-kes'am
pralamba-bâhum svamarottamâbham
19-27




筋肉によりおおわれし 豊かな肩と厚き胸
ほぞは程よく渦巻うずまきて 見事な腹はこのましく
顔には髪がれかかり 長きかいなは神の相(32相)
身に何ひとつまとわずに 至上主のごと輝けり









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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


s'yâmam sadâpîvya-vayo-'nga-lakshmyâ
strînâm mano-jnam rucira-smitena
pratyutthitâs te munayah svâsanebhyas
tal-lakshana-jnâ api gûdha-varcasam
19-28




黒みがかりし肌色で 若き姿態したいの聖シュカは
その輝やかな微笑みで 女性にょしょうの心 魅惑みわくせり
せどもおのず顕れる 至純しじゅんこん栄光えいこう
識別しきべつしたる聖者らは 席から立ちて出迎えり




sa vishnu-râto 'tithaya âgatâya
tasmai saparyâm s'irasâjahâra
tato nivrittâ hy abudhâh striyo 'rbhakâ
mahâsane sopavives'a pûjitah
19-29




パリークシット国王は 来訪らいほうされしその客に
最敬礼さいけいれいの姿とり 尊崇そんすうの意をあらわさる
やがて取り巻く子供らや 無知な女性が去りゆくと
崇敬されし(全員から)聖仙は 最高の座にかれたり




sa samvritas tatra mahân mahîyasâm
brahmarshi-râjarshi-devarshi-sanghaih
vyarocatâlam bhagavân yathendur
graharksha-târâ-nikaraih parîtah
19-30




偉大なリシのそのなかで 更にすぐれし聖シュカが
梵仙そして王仙や 神仙たちにかこまれし
その神聖な有様は
恒星こうせい 星斗せいと 惑星わくせいら 数多あまたの星の集まりに
取り囲まれし月のごと 一際光輝ひときわこうき はなちたり










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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


pras'ântam âsînam akunthha-medhasam
munim nripo bhâgavato 'bhyupetya
pranamya mûrdhnâvahitah kritânjalir
natvâ girâ sûnritayânvapricchat
19-31




きること無き知力ちりょく持つ 聖仙シュカが穏やかに
すすめらるまま座に着くと 主の帰依者なる国王は
ムニに近づき深々と 頭を下げて合掌し
礼儀正しき口振くちぶりで 次の如くにたずねたり




parîkshid uvâca
aho adya vayam brahman
sat-sevyâh kshatra-bandhavah
kripayâtithi-rûpena
bhavadbhis tîrthakâh kritâh
19-32





国王はく申されり
「ああ何というき日かな あがめらるべき有徳ゆうとく
(バラモン)階級の御身様おみさまが 客の形で来駕らいがされ
 武士と王族階級(クシャトリヤ)の 吾らに聖化賜せいかたもうとは...




yeshâm samsmaranât pumsâm
sadyah s'uddhyanti vai grihâh
kim punar dars'ana-spars'a-
pâda-s'aucâsanâdibhih
19-33




尊師そんし(シュカ)を思うことにより 人々の住む家々は
即座に浄化されるなり まして御身おんみに接したり
御足みあしに触れてすすぎたり 席をもうけて捧ぐなば
浄化されざることありや?










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十九章 パリークシット シュカに教えを請う


sânnidhyât te mahâ-yogin
pâtakâni mahânty api
sadyo nas'yanti vai pumsâm
vishnor iva suretarâh
19-34




おお偉大なるヨーギーよ 御身おんみ来駕らいがされしゆえ
人が犯せし極悪ごくあくの 大罪とてもたちまちに
あたかも御主みすが滅ぼさる 悪魔のごとき様相ようそう
跡形あとかたもなく消え失せぬ




api me bhagavân prîtah
krishnah pându-suta-priyah
paitr-svaseya-prîty-artham
tad-gotrasyâtta-bândhavah
19-35




斯くのごとくに至上主が 吾に親愛しんあい 示さるは
パーンドゥ王の息子らと 親しくされしクリシュナが
祖父(アルジュナ)に対する愛ゆえに
孫なるわれ血統けっとうを 認められしに相違そういなし




anyathâ te 'vyakta-gater
dars'anam nah katham nrinâm
nitarâm mriyamânânâm
samsiddhasya vanîyasah
19-36




ああもなくばわれごと 俗人ぞくじんにして更にまた
まさに死なんとする者に
すべてのことを成就じょうじゅされ
寂静じゃくじょう求めひっそりと 森に一人で住まわれる
尊き聖者 御身様おみさまに まみゆるえいがありるや










258

十九章 パリークシット シュカに教えを請う


atah pricchâmi samsiddhim
yoginâm paramam gurum
purushasyeha yat kâryam
mriyamânasya sarvathâ
19-37




苦行者として最高の 尊き御師おんし 御身様おみさま
この世去らんとする者が 解脱げだつに至る方法を
たずねることを許されよ まさに死なんとする者の
人としてす行為とは? 是非ぜひとも教え給えかし




yac chrotavyam atho japyam
yat kartavyam nribhih prabho
smartavyam bhajanîyam vâ
brûhi yad vâ viparyayam
19-38




世俗せぞくに生きる者達は 何をきたりとなえたり
はたまた何をすべきか 何を心にめ置きて
 何をうやまとうとぶか 何がはんする行為か‥を
 おお最高の指導者よ 何卒なにとぞ教え給えかし




nûnam bhagavato brahman
griheshu griha-medhinâm
na lakshyate hy avasthânam
api go-dohanam kvacit
19-39




おお崇高すうこうな聖仙よ 御身おんみが家(家長期かちょうきに在る者の)の入口に
とどまる事をなさるのは 牛乳しぼさえ無き
まこと短き時のみと 世評せひょうに聞きしことありき」











259

十九章 パリークシット シュカに教えを請う


sûta uvâca
evam âbhâshitah prishthah
sa râjnâ s'lakshnayâ girâ
pratyabhâshata dharma-jno
bhagavân bâdarâyanih
19-40





≪聖仙スータ語られる≫
斯くのごとくに国王が 柔和にゅうわな声で問いかくと
ダルマよく知る聖シュカは 次の如くに答えらる



第十九章 終了
























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