二十一章 プリトゥ王の教説


第二十一章【プリトゥ王の教説】




maitreya uvâca
mauktikaih kusuma-sragbhir
dukûlaih svarna-toranaih
mahâ-surabhibhir dhûpair
manditam tatra tatra vai
21-1




マイトレーヤは述べられり
「馬供犠 済ませしプリトゥが 御主みすと別れて帰りたる
故郷の町は花の輪や 真珠のすだれのぼり
金に輝く拱門きょうもん(アーチ形の門)が 色鮮やかに飾られて
道に撒かれし香料の かんばしき香がただよえり



candanâguru-toyârdra-
rathyâ-catvara-mârgavat
puspâksata-phalais tokmair
lâjair arcirbhir arcitam
21-2



大通りとか公園や 細い小道に至るまで
沈水香じんすいこう白檀びゃくだんの 香り立つ水 まき散らし
花や無傷むきずの果物や 穀類そしてまい
大麦などの若葉等が 門口かどぐちなどに飾られて
ほのかに揺らぐともしびに えて色香いろかを放ちおり



savrndaih kadalî-stambhaih
pûga-potaih pariskrtam
taru-pallava-mâlâbhih
sarvatah samalankrtam
21-3




花や実をつけ太きくき 葉を茂らせしバナナとか
檳樃樹びんろうじゅ(キンマ)とかマンゴーを 美々しく飾り華やかに
若き木の芽を数珠じゅずのごと 継なぎて花輪 吊るすなど
思い凝らして国王を 迎える準備整えり



286

二十一章 プリトゥ王の教説


prajâs tam dîpa-balibhih
sambhrtâsesa-mangalaih
abhîyur mrsta-kanyâs ca
mrsta-kundala-manditâh
21-4




邦民ほうみんたちは国王に 歓迎の意を示さんと
愛蔵あいぞうしたる品物や 吉兆示す品々を
集めて準備したるなり
輝く耳輪 きらめかす 清き乙女がそを持ちて
供物と灯火とうか ささげんと 迎えのむれに参加せり




sankha-dundubhi-ghosena
brahma-ghosena cartvijâm
vivesa bhavanam vîrah
stûyamâno gata-smayah
21-5




聖職者が朗誦す ヴェーダ賛歌が嫋嫋じょうじょう
流れる中を法螺貝や ケトルドラムのが響き
王を讃える国民くにたみの 歓迎の声 聞きながら
居城きょじょうはいるプリトゥに おごりの心 皆無かいむなり




pûjitah pûjayâm âsa
tatra tatra mahâ-yasâh
paurân jânapadâms tâms tân
prîtah priya-vara-pradah
21-6




崇敬されるプリトゥは おのが都に帰る途次とじ
彼方あちらこちらの町 村の 著名人とか貴人あでびと
都市や田舎に住む人に 心をこめてねんごろな
もてなしを受け拝されり
王はこれらの人々に 親しみ込めて挨拶し
贈物して喜ばせ 多き満足与えらる




287

二十一章 プリトゥ王の教説


sa evam âdîny anavadya-cestitah
karmâni bhûyâmsi mahân mahattamah
kurvan sasâsâvani-mandalam yasah
sphîtam nidhâyâruruhe param padam
21-7




斯くのごとくにプリトゥは 河川かせんして灌漑かんがい
女神のより絞りたる 種々の産物多用して
農工業をいとなませ 国の繁栄はかるなど
種々しゅじゅの功績挙げられり その名声は地の界に
あまねく広く浸透し 世の称賛を得たるのち
至高の御主みす住処すみかなる 常世とこよさとに帰還さる」



sûta uvâca
tad âdi-râjasya yaso vijrmbhitam
gunair asesair gunavat-sabhâjitam
ksattâ mahâ-bhâgavatah sadaspate
kausâravim prâha grnantam arcayan
21-8





≪聖仙スータ 語られり≫
名声高き有徳者で 初戴冠しょたいかんなる国王(プリトゥ)
その物語聴き終えし 御主おんしゅの帰依者ヴィドゥラは
恩師(マイトレーヤ)讃えて拝すると おおシャウナカよ 更にまた
斯くの如くに依願いがんせり



vidura uvâca
so 'bhisiktah prthur viprair
labdhâsesa-surârhanah
bibhrat sa vaisnavam tejo
bâhvor yâbhyâm dudoha gâm
21-9





ヴィドゥラは斯く申したり
「ブラーフマナや賢者等に “国王”という称号を
地上で初に戴きし プリトゥ王は神々に 祝いの品を贈与さる
更に尊き御主より 搾乳さくにゅううで 授けられ
女神の乳より数々の 利益や力 引き出せり




288

二十一章 プリトゥ王の教説


ko nv asya kîrtim na srnoty abhijno
yad-vikramocchistam asesa-bhûpâh
lokâh sa-pâlâ upajîvanti kâmam
adyâpi tan me vada karma suddham
21-10




斯かる王者の活動を 拝聴するを望まなき
愚者が何処いずこに居たらんや プリトゥ王が為せしわざ
そをならうこと それのみで 土地の保護者や王族や
治世者ちせいしゃたちは良俗りょうぞくや 望ましき物 得らるらん
故に御師よ 願わくば プリトゥ王の業績を
更に詳しく説き給え」



maitreya uvâca
gangâ-yamunayor nadyor
antarâ ksetram âvasan
ârabdhân eva bubhuje
bhogân punya-jihâsayâ
21-11





マイトレーヤは述べられり
「プリトゥ王はその後も ガンジス河とヤムナー(河)
二つの河に囲まれし 聖なる土地にきょを構え
市井しせいに在りて身に着きし 全ての行為浄めんと
定められたる運命を 流れのままに享受(欲望も執着もなく)さる



sarvatrâskhalitâdesah
sapta-dvîpaika-danda-dhrk
anyatra brâhmana-kulâd
anyatrâcyuta-gotratah
21-12




治世者とての確固たる 威厳を持ちし大王の
言葉や意見 命令は 七大陸ななたいりく (ドヴィーパ)を支配して
最高神の後裔や ヴァルナの上位バラモンの
ほかには如何いかな者であれ 異議を唱えることは無し






289

二十一章 プリトゥ王の教説


ekadâsîn mahâ-satra-
dîksâ tatra divaukasâm
samâjo brahmarsînâm ca
râjarsînâm ca sattama
21-13




しかりし時に大王は かつて昔に施行しこうさる
大ソーマ祭 行ぜんと 固き決意を持たれたり
その大供犠の会場は 天の住者や神々や
王仙 聖仙 神仙や ブラーフマナの有徳者や
名高き御主みすの帰依者等が おおヴィドゥラよ 参集す




tasminn arhatsu sarvesu
sv-arcitesu yathârhatah
utthitah sadaso madhye
târânâm udurâd iva
21-14




この大供犠の催場に つどい来たりし人々は
地位や 位に相応ふさわしき 供物を献じ崇拝す
参じた人の中央に すっくと立ちし大王は
満天の夜にきらめける 星々制し 煌々こうこう
光を放つ月のごと 美々しくたかく輝けり




prâmsuh pînâyata-bhujo
gaurah kanjâruneksanah
sunâsah sumukhah saumyah
pînâmsah sudvija-smitah
21-15




せいが高くて肩厚かたあつで 長きかいなの大王は
蓮華の如き赤き目で あさひのごとく輝けり
鼻筋通り つややかな 明るき顔の大王は
威厳 寛容 合わせ持ち 美しき歯で微笑まる





290

二十一章 プリトゥ王の教説


vyûdha-vaksâ brhac-chronir
vali-valgu-dalodarah
âvarta-nâbhir ojasvî
kâncanorur udagra-pât
21-16




広く分厚ぶあつき胸板に どっしりとしたその臀部でんぶ
腹部のひだはバニヤン(樹)の 葉脈ようみゃくのごと麗しく
深く渦巻くほぞを持ち 丸太の如き太腿ふともも
アーチ型した甲高こうだかの 黄金色こがねいろした大き足





sûksma-vakrâsita-snigdha-
mûrdhajah kambu-kandharah
mahâ-dhane dukûlâgrye
paridhâyopavîya ca
21-17




かろき巻き毛の黒髪は 羽色ばいろしたつややかさ
首と腕には巻貝を つなぎしものを巻きつけて
貴重な布の一枚は ドウティとして腰に巻き
の一枚は肩にかけ 身体の一部 覆われり




vyanjitâsesa-gâtra-srîr
niyame nyasta-bhûsanah
krsnâjina-dharah srîmân
kusa-pânih krtocitah
21-18




プリトゥ王は装飾の 全ての放棄 決められて
肉体の持つ本来の 姿そのまま顕さる
黒く輝く皮膚のみで その美と威厳 強調し
指にクシャ草持つ王は そを慣習と為さんため







291

二十一章 プリトゥ王の教説


sisira-snigdha-târâksah
samaiksata samantatah
ûcivân idam urvîsah
sadah samharsayann iva
21-19




気高けだかき王がもう一度 星の如くにきらめける
まなこで会場見渡すと その一瞥いちべつで人々の
喜悦の思い溢れ出し 王の言葉を待ち望む





câru citra-padam slaksnam
mrstam gûdham aviklavam
sarvesâm upakârârtham
tadâ anuvadann iva
21-20




優雅な言葉 なめらかに まこと澄みたる声色こわいろ
偉大な真理 こまやかに 説いて聴かせる王説おうせつ
ただ 一点の疑義もなく 聴き入る者に浸み渡る




râjovâca
sabhyâh srnuta bhadram vah
sâdhavo ya ihâgatâh
satsu jijnâsubhir dharmam
âvedyam sva-manîsitam
21-21





プリトゥ王は語られり
〈ここに参集なされたる 高貴なこんを持つ方よ
高潔にして有徳者の 御方々おんかたがたに<幸あれ>と
御主みすに御祈願 奉る <ダルマの規律知りたし>と
或いは<真理知りたや>と 心を込めて願われし
探究心の強き方 殊勝しゅしょうな心持つ方に
が知りたるを語るらん 何卒お聴き給えかし





292

二十一章 プリトゥ王の教説


aham danda-dharo rajâ
prajânâm iha yojitah
raksitâ vrttidah svesu
setusu sthâpitâ prthak
21-22




は王権の使者ゆえに たみの世界にたずさわり
秩序を定め従わせ 生計の資をたてさせる
保護する者でありながら 雇主やといぬしでもありしなり






tasya me tad-anusthânâd
yân âhur brahma-vâdinah
lokâh syuh kâma-sandohâ
yasya tusyati dista-drk
21-23




ヴェーダ知識の指導者は 神に帰依することにより
この世の幸を手にすると 民に教えて導かる
神の満足ることが おのれ自身の喜びと
先哲せんてつたちも申されり





ya uddharet karam râjâ
prajâ dharmesv asiksayan
prajânâm samalam bhunkte
bhagam ca svam jahâti sah
21-24




王権を持つ者達が 正しく税を徴収し
定められたる国民こくみんの 規則の履行教えずば
無知なる者は感官の 満足のみを楽しみて
法令遵守することで 得る最高の喜びを
知らぬ無頼ぶらい(ならず者)に堕する






293

二十一章 プリトゥ王の教説


tat prajâ bhartr-pindârtham
svârtham evânasûyavah
kurutâdhoksaja-dhiyas
tarhi me 'nugrahah krtah
21-25




国に繁栄もたらすは 王なる吾の運命さだめにて
それを遂行することに いかな努力も惜しまざり
おおそれ故に国民くにたみよ 心清らに(妬み・不平を持たず)義務果たし
常に御主おんしゅに慈悲を請い 国を治むるこの吾の
使命をたすけ 給えかし




yûyam tad anumodadhvam
pitr-devarsayo 'malâh
kartuh sâstur anujnâtus
tulyam yat pretya tat phalam
21-26




今 面前に御揃おそろいの 祖霊や諸神 諸聖人
そして無垢なる純粋な 清められたる人々よ
何卒吾の懇願を 認めて力 貸したまえ
行為する者 命ず者 支配する者 援助者も
死後に位階いかいはなきゆえに 受ける功罪こうざい 皆同じ




asti yajna-patir nâma
kesâncid arha-sattamâh
ihâmutra ca laksyante
jyotsnâvatyah kvacid bhuvah
21-27




物質界を去りし後 その人々の功罪は
最上級の人々の 合議で決まるという人や
供犠経験の多寡たかという 人等もありて多々なれど
行為の結果 決めるのは
光輝を放つ清明せいめいな 常世とこよに座する御主おんしゅのみ





294

二十一章 プリトゥ王の教説


manor uttânapâdasya
dhruvasyâpi mahîpateh
priyavratasya râjarser
angasyâsmat-pituh pituh
îdrsânâm athânyesâm
ajasya ca bhavasya ca
prahlâdasya bales câpi
krtyam asti gadâbhrtâ
21-28・29









スヴァーヤンブヴァ マヌそして ウッターナパーダ大王や
ドゥルヴァ王とか王仙の プリヤヴラタや吾が祖父の
アンガと呼ばる聖仙や 初の具現主ブラフマー神
宇宙を見張るシヴァ神や プラフラーダやバリ王は
斯くの如くに言わるらん 〈『斯くあるべし』と世の人に
御指示なされしその香菓かく(かくなわ・結果)を 判別される
御方おんかたは 槌矛つちほこ持たる至上主(クリシュナ神)〉と



dauhitrâdîn rte mrtyoh
socyân dharma-vimohitân
varga-svargâpavargânâm
prâyenaikâtmya-hetunâ
21-30




この卓見たっけんを受け入れぬ ダルマにそむき堕落した
まわしき者 そしてまた 死神の子や孫達を
除きてほか者等ものら 皆 物質界の汚染から
解放されて輝ける 明るき道を進むなり



yat-pâda-sevâbhirucis tapasvinâm
asesa-janmopacitam malam dhiyah
sadyah ksinoty anvaham edhatî satî
yathâ padângustha-vinihsrtâ sarit
21-31




蓮華の御足みあし 崇拝し 御奉仕できる喜びを
与えられたる者達は 聖ガンガーの浄水が
日毎夜毎ひごとよごとに増え続く 不浄の思いますごと
かず 限りなく転生し “苦行”経験したうえで
与えられたる香菓かくなりき


295

二十一章 プリトゥ王の教説


vinirdhutâsesa-mano-malah pumân
asanga-vijnâna-visesa-vîryavân
yad-anghri-mûle krta-ketanah punar
na samsrtim klesa-vahâm prapadyate
21-32




世俗の知恵に捉われず
御主みすの蓮華の御足おみあしに 保護を求めて帰依すれば
心のなかの不純物 残余無きまで浄化され
めぐる輪廻に引きずられ 辛酸嘗しんさんなめることは無し




tam eva yûyam bhajatâtma-vrttibhir
mano-vacah-kâya-gunaih sva-karmabhih
amâyinah kâma-dughânghri-pankajam
yathâdhikârâvasitârtha-siddhayah
21-33




斯くの如くに御足おみあしを 崇めておのが職責を
全うすれば必ずや 現実的にこの世での
心を満たす喜びや おのれの望み 叶うらん
主の御力みちからを確信し ひたすら崇拝するべけれ




asâv ihâneka-guno 'guno 'dhvarah
prthag-vidha-dravya-guna-kriyoktibhih
sampadyate 'rthâsaya-linga-nâmabhir
visuddha-vijnâna-ghanah svarûpatah
21-34




無属性(グナを持たない=非肉体)にて至純なる 卓越したる至上主は
多種で多様な諸要素を マントラ唱え顕現し
供犠の手本を見せられり 根本原主クリシュナは
汚染されたる世俗での 規律を正し純粋な
供犠を見せんと意図なされ まことの姿具現さる






296

二十一章 プリトゥ王の教説


pradhâna-kâlâsaya-dharma-sangrahe
sarîra esa pratipadya cetanâm
kriyâ-phalatvena vibhur vibhâvyate
yathânalo dârusu tad-gunâtmakah
21-35




火は木にひそ原木げんぼくの 原素によりて燃えるごと
物質自然つかさどる 時(カーラ)さだめし本質を
心身深く銘記して 行為をすれば至高主は
その徳行に満足し 必ず お受けくださらん




aho mamâmî vitaranty anugraham
harim gurum yajna-bhujâm adhîsvaram
sva-dharma-yogena yajanti mâmakâ
nirantaram ksoni-tale drdha-vratâh
21-36




偉大な神を崇拝し 大地の上で営々えいえい
おのれの義務を果たすため 日夜働くたみ
おお至上主よ そしてまた グルや 祭事さいじの御供物の
分配享ける資格持つ 多くの聖者聖仙よ
請い願わくばこの者等 すべての民にへだてなく
厚き御慈悲を与えませ




mâ jâtu tejah prabhaven maharddhibhis
titiksayâ tapasâ vidyayâ ca
dedîpyamâne 'jita-devatânâm
kule svayam râja-kulâd dvijânâm
21-37




忍耐強く耐え難き 苦行に励み そしてまた
真理を深く履修りしゅうした 光り輝く最高の
御主おんしゅに帰依す バラモンは 再生族(三種姓)の長なりき
世俗の者も王族(クシャトリヤ=王族は種姓二番目・世俗のバイシャ三番目)
おのれの富や繁栄を 決して誇示す ことなかれ





297

二十一章 プリトゥ王の教説


brahmanya-devah purusah purâtano
nityam harir yac-caranâbhivandanât
avâpa laksmîm anapâyinîm yaso
jagat-pavitram ca mahattamâgranîh
21-38




聖智を求む年嵩としかさの ブラーフマナの長達おさたち
常世とこよさとに住み給い 全てを浄化される御方かた
根本原主クリシュナの 御足みあしを崇め 礼拝し
富や幸運 名声を 最初に得たる尊者そんじゃなり



yat-sevayâsesa-guhâsayah sva-râd
vipra-priyas tusyati kâmam îsvarah
tad eva tad-dharma-parair vinîtaih
sarvâtmanâ brahma-kulam nisevyatâm
21-39




全ての者のフリダヤに 照覧者とて在りながら
孤高の境地 寂静に 永久とわします至上主は
ブラーフマナの献身に 満足されて愛される
おお人々よ かにくに 主に愛されるバラモンを
謙虚に見つめ敬愛し その道筋をならうべし
されば世俗で犯したる 罪が次第に清められ
時が至れば待望の 解脱の境に 入るらん




pumâl labhetânativelam âtmanah
prasîdato 'tyanta-samam svatah svayam
yan-nitya-sambandha-nisevayâ tatah
param kim atrâsti mukham havir-bhujâm
21-40




斯くのごとくにバラモンを 崇めることで人々は
己が気魂きこんが浄化され 無限に続く平穏を
自然に会得いたすらん 斯くて彼等は最高の
御主みすに献身することで 供犠の供物を頂戴し
クシャトリヤ族 祖霊等の 渇望したる地位(バラモンに類似した)を得ん




298

二十一章 プリトゥ王の教説


asnâty anantah khalu tattva-kovidaih
sraddhâ-hutam yan-mukha ijya-nâmabhih
na vai tathâ cetanayâ bahis-krte
hutâsane pâramahamsya-paryaguh
21-41




始めも無くて終り無き(不生不死) 絶対真理至上主に
叡智を得たる最高の ブラーフマナの名によりて
その信仰の本源に 捧げられたる御供物は
たとえ祭火にべようが 功徳が消えることは無し




yad brahma nityam virajam sanâtanam
sraddhâ-tapo-mangala-mauna-samyamaih
samâdhinâ bibhrati hârtha-drstaye
yatredam âdarsa ivâvabhâsate
21-42




行ない難き苦行をし 常に称名 念誦して
感覚制し 世俗絶つ ブラーフマナの諸行為は
主へのたゆまぬ帰依心と ヴェーダの詩句しくの本髄を
体得したる所以ゆえんなり 明鏡止水めいきょうしすい 揺るぎなき
ブラーフマナのこの姿 まこと吾等の手本なり




tesâm aham pâda-saroja-renum
âryâ vaheyâdhi-kirîam âyuh
yam nityadâ bibhrata âsu pâpam
nasyaty amum sarva-gunâ-bhajanti
21-43




ああ願わくばバラモンよ 御身様方おみさまがた御足おみあし
塵をかぶとに戴きて 己が命の尽きるまで
浄化の道を辿りたし おお偉大なる先哲よ
美徳を積みて主を崇め 罪の消去に励むゆえ
<供犠の残余が戴ける えい 賜れ>と請うるなり






299

二十一章 プリトゥ王の教説


gunâyanam sîla-dhanam krta-jnam
vrddhâsrayam samvrnate 'nu sampadah
prasîdatâm brahma-kulam gavâm ca
janârdanah sânucaras ca mahyam
21-44




良き性質を持つ者に 浄財じょうざい多く集まらん
恩義に感謝する者や 真理探究する者は
時が来たらば成功し 多大な富をるべけれ
再生族を尊敬し 乳牛をよく飼育して
至上の神を喜ばす 御主みすの帰依者がもと
多く集まり幸福が 満ち充つ国となることを!〉」




maitreya uvâca
iti bruvânam nrpatim
pitr-deva-dvijâtayah
tustuvur hrsta-manasah
sâdhu-vâdena sâdhavah
21-45





マイトレーヤは述べられり
「斯くの如くに国王が 語り終えると神々や
ピトリローカの住人や 再生族の人々は
多いに心 満たされて 賛辞 喝采 足鳴らし
プリトゥ王を褒め讃う




putrena jayate lokân
iti satyavatî srutih
brahma-danda-hatah pâpo
yad veno 'tyatarat tamah
21-46




〈ヴェーダに於きて述べられし 〔息子によりて勝利あり〕
まさしく息子プリトゥが 天国のごと王国を
地上に樹立したるゆえ ブラーフマナの呪いにて
地獄に堕ちし父ヴェーナ 罪 許されて浮上せり




300

二十一章 プリトゥ王の教説


hiranyakasipus câpi
bhagavan-nindayâ tamah
viviksur atyagât sûnoh
prahlâdasyânubhâvatah
21-47




プラフラーダの父である ヒラニヤカシプ悪魔王
クリシュナ神を誹謗して 奈落の底に落とさるが
息子の熱き献身と 奉仕によりて許されり




vîra-varya pitah prthvyâh
samâh sanjîva sâsvatîh
yasyedrsy acyute bhaktih
sarva-lokaika-bhartari
21-48




傑出けっしゅつしたる英雄で 国民くにたみ愛す 御身様おみさま
広き大地を蘇生させ 彼等にかてを与えらる
斯かる慈悲ある国王は 至高の御主みすに熱烈な
献身奉仕捧ぐ方 おお素晴らしき帝王よ
<長寿と幸があれかし>と
民草たみくさこぞり至上主に 願いて祈り捧ぐなり




aho vayam hy adya pavitra-kîrte
tvayaiva nâthena mukunda-nâthâh
ya uttamaslokatamasya visnor
brahmanya-devasya kathâm vyanakti
21-49




おお徳高き帝王よ 根本原主クリシュナの
まこと得難き物語 吾等に聴かせ給いたる
国王こそは至上主の 深き御慈愛そのままに
顕示為される御方なり かかる見事な国王の
統治下にある国民くにたみは 深き感謝を捧ぐなり






301

二十一章 プリトゥ王の教説


nâtyadbhutam idam nâtha
tavâjîvyânusâsanam
prajânurâgo mahatâm
prakrtih karunâtmanâm
21-50




おお国王よ 統治者が 己れの民の生計の
資の在り方を導くは 驚くことでなかりけり
偉大な者は愛深く 民への慈悲や思いやり
心砕きて細密に 教導するは本来の
だいなる者の 資質なり



adya nas tamasah pâras
tvayopâsâditah prabho
bhrâmyatâm nasta-drstînâm
karmabhir daiva-samjnitaih
21-51




吾等物質人間は 過去の悪行あくぎょう 累積るいせき
おのず落ちたる冥闇みょうあん に 惑いて暗夜歩あんやあゆむなり
人世ひとよしるべ 失いし 憐れな民を救わんと
おお国王よ 御身様おみさまは 王家固有の高徳で
御慈愛深く国民くにたみを 保護し 救出なさるなり〉



namo vivrddha-sattvâya
purusâya mahîyase
yo brahma ksatram âvisya
bibhartîdam sva-tejasâ
21-52




斯くのごとくに人々に 称賛受けし国王は
聖智によりて磨かれし 義務や職務や役職の
秘伝を駆使しバラモンや クシャトリヤ等に伝授して
地球を護り 育てらる かかる偉大な大王に
崇敬捧げまつらん」と



二十一章 終了
302