クリシュナ神について

 クリシュナ神の原初の御姿は左右二本ずつの四本腕であり、右手に蓮花と円盤
左手に法螺貝と槌矛を持たれています。腕や手頸や指や足は金のリングで飾られ、
宝石を鏤めた王冠と耳飾りと腰帯をされており、首にはカウストゥバの宝石と、枯れる
ことなく香りたつヴァナマーラーの花輪を、かけられていると伝えられています。
また雨雲のような青みがかった黒い肌、青蓮華のような眼、黒い巻毛の艶やかな髪を
もたれており、金色の胸の巻き毛は、ラクシュミーの憩いの場とされています。

 主は、国の統治者達が心をタマス(怠惰、迷妄)に支配され、アダルマ(不正義)の道
を歩む時、地球に積もる罪科をとり除き、世の安寧をはかる為に、多くの化身の姿
をとられご降臨されたと伝えられていますが、こうした数多の化身の中で、最も完
全なる化身として、約五千年前、北インドにあるヤドゥ王家に、兄バララーマと共
にヴァスデーヴァとデーヴァキーの御子として降誕されたのがクリシュナ神であり、
最高神として崇められております。



The poet Jayadeva bows to Vishnu, 1730 A.D.,
The Government Museum and Art Gallery, Chandigarh, from Wikimedia Commons